こんにちは。今日も夜10時の答え合わせを楽しみに待っている、当サイト管理人です。

今回は、少し裏側の話をさせてください。このサイトが、どうやって「今日の基準価額」を計算しているのかという話です。

というのも、私自身がサイトを作りながら、ずっと引っかかっていたことがあるんです。

自分の出した推計と、夜に発表される公式の数字が、毎回ちょっとだけズレる。

大きく外すわけではありません。方向は合っているし、だいたいの幅も合っている。でも、ぴったりにはならない。しかも、Xで同じような予想を出している方の数字とも、微妙に違う。

「あれ、自分の計算どこか間違えてる?」

そう思って調べていくうちに、これは間違いではなく、構造的にそうなるものだと分かってきました。今日はその話をします。

ちなみに、この記事を読むと当サイトの数字を「どこまで信じていいか」が分かるようになります。ツールを使ううえで、けっこう大事な話だと思っています。

まず、何を計算しているのか

なぜ投資信託の値段はその日のうちに分からないのかTTM(仲値)の話で、海外株式の投資信託は「昨日の海外市場の結果 × 今日の朝10時ごろの為替」で決まる、という話をしました。

当サイトの計算も、この仕組みをそのままなぞっています。

式にすると、たったこれだけです

やっていることは、驚くほどシンプルです。

推計基準価額 = 前日の公式基準価額 × (現在の指数 ÷ 前日の指数) × (現在のドル円 ÷ 前日のドル円)

前日に発表された「確かな数字」を土台にして、そこから指数と為替がどれだけ動いたかを掛け算する。それだけです。

たとえば前日の基準価額が30,000円で、指数が前日比+1.0%、ドル円が+0.5%(円安)だったとします。

30,000 × 1.010 × 1.005 = 約30,450円

※これは計算方法を示すための例で、実際の数値ではありません。

ただし、日経平均とTOPIXの2枚だけは、この式を使っていません。指数そのものの値を、そのまま出しています。

理由は、当サイトが国内株式ファンドの基準価額データを取得していないからです。上の式は「前日の公式基準価額」を土台にして掛け算する仕組みなので、土台がなければ計算が始まりません。持っていない数字を推定で埋めるくらいなら、指数をそのままお見せするほうが誠実だと判断しました。

国内株式ファンドの基準価額は当日の終値で決まり、為替の影響も受けません。ですから指数の騰落率は、連動するファンドの値動きのおおよその目安にはなります。ただし信託報酬や配当の扱いの分だけズレますし、そもそも基準価額そのものではありません。その前提でご覧ください。

なぜ、構成銘柄を積み上げないのか

ここで「もっと正確にやる方法はないの?」と思われるかもしれません。

あります。理論上は、ファンドが持っている全銘柄の値動きを1つずつ積み上げれば、より正確な数字が出せるはずです。

でも、私はこの方式を選びませんでした。理由は「精度 × スピード感」のバランスです。

オルカンは世界約50カ国、数千銘柄で構成されています。それを全部リアルタイムで追いかけるのは、個人が作るツールとしては現実的ではありません。仮にできたとしても、更新に時間がかかって「今すぐ知りたい」という目的に合わなくなります。

一方、指数の変動率を掛ける方式なら、約1分ごとに更新できます。そして、方向感と大まかな幅は十分つかめる。

「完璧だけど遅い」より「そこそこ正確ですぐ出る」方が、このツールの目的には合っている。そう判断しました。

この判断が、後で説明する「ズレ」の正体にもつながっています。

公式発表と見比べたら、毎回ちょっとズレていました

さて、ここからが本題です。

サイトを作ってしばらく、私は毎晩ひとりで答え合わせをしていました。自分のサイトが出した推計と、夜10時に発表される公式の数字を手元で照らし合わせる、という地味な作業です。

そして気づきました。毎回、ちょっとだけズレる。

さらに、Xで同じような予想を出している方の数字を見ても、自分のものと微妙に違う。「みんなバラバラだな」と思ったとき、これは計算ミスではなくそもそも一致しないものなのではと考えるようになりました。

調べていくと、理由が4つ出てきました。順番に書きます。

理由①:信託報酬が、毎日ちょっとずつ引かれている

最初に見つけた犯人がこれでした。

投資信託には「信託報酬」という運用コストがかかります。これ、年に1回まとめて請求されるわけではなく、毎日、保有資産から日割りで差し引かれています。オルカンの交付目論見書にも「日々の純資産総額に対して」かかると明記されています。

実際の料率と、それが長期でどう効くかは信託報酬の記事で詳しく扱っています。

正直に言うと、私は「毎日」引かれていることを知りませんでした。信託報酬という費用があること自体は知っていたのですが、どこかのタイミングでまとめて精算されるものだと、なんとなく思い込んでいたんです。

でも、基準価額は毎日その控除を受けたあとの数字です。当サイトの計算式にはこのコスト控除が入っていないので、公式の数字の方がわずかに低くなる傾向があります。

1日あたりで見れば本当に小さな金額です。ただ「毎回わずかに高く出る」という偏りの説明にはなりました。

理由②:ファンドと指数は、完全には一致しない

次に出てきたのが「トラッキングエラー」です。

インデックスファンドは指数に連動するように運用されていますが、指数そのものではありません。実際に銘柄を売買する以上、タイミングのズレや端数の処理が発生します。

指数は「計算上の数字」、ファンドは「実際に運用されている現物」。この差が日常的に少しずつ出ます。

ここに気づいたとき、「あ、そもそも指数を見ているだけでは原理的に当たらないんだ」と腑に落ちました。

理由③:配当のタイミングと、各国の税金

3つ目は配当です。

ファンドが持っている企業からは配当金が出ます。それがファンドに再投資されるまでには、タイムラグがあります。さらに、配当には各国で源泉徴収がかかり、その税率は国によって違います。

このあたりは指数の値動きには表れないので、当サイトの計算では拾えません。

理由④:オルカンは、ドルだけでできているわけではない

そして、たぶんこれが一番大きい理由です。

当サイトの為替計算は、基本的にドル円をベースにしています。でもオルカンは「全世界株式」です。名前のとおり、アメリカだけでなくヨーロッパも日本も新興国も入っています。

ということは、その中身はドルだけでなく、ユーロ、ポンド、その他さまざまな通貨で構成されているということになります。

ユーロやポンドが大きく動いた日は、ドル円だけを見ている当サイトの数字とは、そのぶん差が出ます。

これは正直、直しようがありません。すべての通貨を追いかけようとすると、さっき書いた「精度 × スピード感」のバランスが崩れてしまうからです。

時間帯によって、精度は変わります

もう1つ、知っておくと便利なことがあります。当サイトの数字は、1日の中でも精度が変わります。

朝10時ごろまでは「暫定値」です

前回の記事で書いたとおり、運用会社が使う為替レートはTTM(仲値)で、これは朝10時ごろに決まります。

それより前の時間帯は、当サイトはリアルタイムの為替で計算しています。つまりまだ運用会社と同じ材料が揃っていない状態です。

画面には「推計更新中:公式為替待ち」と出ているはずです。この時間の数字は、あくまで速報値くらいに思っておいてください。

10時台以降は、運用会社と同じ為替を使っています

TTMが発表されると、当サイトは自動的にそちらへ切り替えます。以降、為替の数字は固定されます。

ここからは運用会社と同じ為替レートで計算していることになるので、材料の半分は完全に一致します。残る差は、さきほど挙げた信託報酬やトラッキングエラーなどの構造的なものだけです。

個人的には、この10時台以降の数字が一番使いやすいと思っています。私が昼休みにこっそり確認しているのも、この時間です。

じゃあ、何のために見るのか

ここまで読んで、「けっこう当たらないんだな」と思われたかもしれません。

そのとおりです。そして私は、それでいいと思っています。

そもそも、今日の基準価額を1円単位で当てられたとして、それで私たちの投資行動が変わるでしょうか。変わらないですよね。長期・積立・分散でコツコツやるなら、今日の数円は誤差の範囲です。

当サイトが提供したいのは、正確な予言ではありません。「今日はだいたいプラスっぽい」「今日はちょっと厳しそう」という方向感です。

それが分かるだけで、1日の過ごし方は変わります。夜に数字を見るのが楽しみになったり、逆に「今日は見ないでおこう」と判断できたり。この「見ない判断ができる」というのが、暴落局面ではけっこう効きます。

だから当サイトは、「当てるツール」ではなく「傾向を掴むツール」という立ち位置を取っています。数円〜十数円の差は当たり前に出るものとして、そのうえで使っていただくのが正しい使い方です。

仕組みを調べていく過程で、私は信託報酬の引かれ方も、トラッキングエラーも、TTMのことも知りました。ズレの理由を追いかけていたら、勝手に金融の知識が増えていたというのは、思わぬ副産物でした。

まとめ:ズレることを分かったうえで使う

今回の内容を整理します。

  • 当サイトは「前日の公式基準価額 × 指数の変動 × 為替の変動」で推計している
  • 構成銘柄を積み上げないのは「精度 × スピード感」のバランスを取ったから
  • 公式発表とズレる理由は4つ。信託報酬の日割り控除/トラッキングエラー/配当と源泉徴収/ドル円以外の通貨
  • これらは計算ミスではなく構造的に生じるもので、直しようがない部分もある
  • 朝10時ごろまでは暫定値、10時台以降は運用会社と同じ為替を使うので材料が揃う
  • だから「当てる」ためではなく「方向感を掴む」ために使ってほしい

裏側の話は以上です。仕組みを知ったうえで見ると、画面の数字の見え方も少し変わるかもしれません。

それでは、また次の記事でお会いしましょう!

※注意事項(免責事項)

  • 本記事は当サイトの計算方法の説明および運営者個人の経験に基づく情報提供であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
  • 当サイトが表示する推計値は当サイトが独自に算出したものであり、実際の基準価額を保証するものではありません。正式な基準価額は各運用会社の公式発表をご確認ください。
  • 基準価額の算出方法や信託報酬の水準は、ファンドによって異なります。詳細は各ファンドの交付目論見書をご確認ください。
  • 投資には元本割れのリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。