こんにちは、FundScope管理人のおかざえもんです。

今日はひとつ、みなさんに聞いてみたいことがあります。

朝の通勤電車でスマホを開いて、「今日って、自分の資産どうなってるんだろう?」と思ったこと、ありませんか?

私は毎日思っています(笑)

でも、投資信託って困ったことに、その答えが出るのが夜の10時ごろなんですよね。朝から気になっているのに、答えが出るのは1日の終わり。仕事をしている間ずっと「今日は上がってるのかな、下がってるのかな」とモヤモヤしたまま過ごすことになります。

これ、地味にしんどくないですか?

……というわけで今回は、「なぜ投資信託の値段は、その日のうちに分からないのか」という話をしたいと思います。 このサイトを作るにあたって仕組みを調べ尽くしたので、その内容をまるっとお伝えします。

そして最後に、この仕組みを知ったことで私の1日の過ごし方がどう変わったかについても書かせてください。個人的には、こっちの方が大事な話だと思っています。

まず大前提:投資信託の値段は、1日に1回しか動きません

株を持っている方はご存知だと思いますが、株価って1日中、秒単位でグリグリ動きますよね。9時に開いて、15時半に閉じるまで、ずっとチカチカ数字が変わり続けています。

ところが投資信託は違います。

投資信託の値段のことを「基準価額(きじゅんかがく)」と言うのですが、これは1日にたった1回しか計算されません。 株のように動き続けるのではなく、「今日の値段はこれです」という数字が1日1個だけ、あとから発表される形です。

1万口あたりいくら、という形で表示されるあの数字ですね。オルカンなら「38,432円」みたいな。

しかも私たちは「いくらで買えるか分からないまま」注文しています

ここで、ちょっと怖い事実をお伝えします。

投資信託の注文は、その日の値段が決まる前に締め切られます。 締切はだいたい15時。でも、その時点では今日の基準価額はまだ計算されていません。

つまり私たちは、「いくらになるか分からないけど、とりあえず買います」という状態で注文ボタンを押していることになります。

これには「ブラインド方式」というちゃんとした名前がついています。 大和アセットマネジメントの用語集には、こう書かれています。

適用される基準価額がわからない状況で、ファンドのご購入やご換金をお申し込みになる方法

……身も蓋もない説明ですね(笑) でも本当にその通りなんです。目隠し(ブラインド)をしたまま注文する、ということでこの名前がついています。

なぜ、そんな不便な仕組みになっているのか

「値段が分からないまま買わせるなんて、不親切じゃない?」と思いますよね。私も最初はそう思いました。

でも、理由を聞いて納得しました。 これは「すでにその投資信託を持っている人を守るため」の仕組みなんです。

ちょっと想像してみてください。

もし「昨日の値段で今日買える」というルールだったら、どうなるでしょうか。 今日の相場が大暴騰しているのを見てから、安かった昨日の値段で買い注文を入れることができてしまいます。ズルいですよね。

そして、そのズルい人が安く買った分のツケは、すでにその投資信託をコツコツ持っている人たちが払うことになります。

だから、みんな平等に「分からない状態」で注文する。 かつては本当に前営業日の値段で取引されていた時代もあったそうですが、この不公平をなくすために、今の形に落ち着いたというわけです。

不便に見えて、実は私たち長期でコツコツ積み立てている側を守ってくれているルールだったわけですね。ここを知ってから、私はこの仕組みが少し好きになりました。

【ここが一番のポイント】オルカンの「今日の値段」は、昨日のアメリカで決まっています

さて、ここからが今日の本題です。 そしてここが一番混乱しやすいところなので、ゆっくりいきます。

オルカンやS&P500のような、海外の株に投資する投資信託。 この「今日の基準価額」には、いつのアメリカの株価が反映されていると思いますか?

答えは、「前の晩に終わった、アメリカ市場の結果」です。

理由はシンプルで、時差です

アメリカの株式市場が開いているのは、日本時間だとだいたい夜の11時半から翌朝6時ごろ。アメリカがサマータイム(夏時間)を採用している3月ごろ〜11月ごろは1時間早まって、夜の10時半から翌朝5時ごろになります。 いずれにしても、日本が完全に寝ている真夜中ですね。

一方、日本の投資信託の注文締切は15時。 この15時の時点で、アメリカ市場は今日ぶんがまだ1秒も始まっていません。

「今日のアメリカの結果」を待っていたら、翌朝5時まで待つことになってしまいます。それでは基準価額を計算できません。

だから「直近の海外市場の終値」を使います

三菱UFJアセットマネジメントの説明によると、海外株式で運用するファンドの基準価額には「基準価額算出日の直近の海外取引所終値」が使われます。

言い換えると、こういうことです。

今日のオルカンの基準価額に反映されている株価は、昨日の夜から今朝方にかけて終わった、アメリカやヨーロッパの結果。

だから、朝の通勤電車でスマホを開いたその瞬間には、今日の基準価額を決める材料の半分は、もう出そろっているんです。 これを知ったときは、正直ちょっと感動しました。

そこに「今日の朝の為替」を掛けます

ただし、材料はもう半分あります。為替です。

アメリカの株はドルで買われています。でも私たちが見ている基準価額は円。ということは、どこかでドルを円に換算する必要がありますよね。

ここで使われるのが、同じく三菱UFJアセットマネジメントが説明している通り、「基準価額算出日の午前10時頃の為替レート(対顧客電信売買相場の仲値)」です。

つまり、株価は昨日のものを使うのに、為替だけは今日の朝のものを使うんですね。

整理すると、こうなります。

今日のオルカンの基準価額 = 昨日のアメリカの結果 × 今日の朝10時ごろの為替

この「仲値」というやつが、実はかなり奥が深くて面白い世界なのですが……ここで語り始めると記事が3倍の長さになってしまうので、TTMの話は別の記事にまとめました。

ちなみに、日経平均やTOPIXの投信は事情が違います

ここまで海外の話をしてきましたが、日本株の投資信託は仕組みがちょっと違います。混乱しないように、こちらも押さえておきましょう。

国内株式で運用するファンドの基準価額には、「基準価額算出日の取引所の終値」が使われます。つまり今日の15時に決まった、今日の終値です。

そして日本株は最初から円で取引されているので、為替の影響を受けません

並べてみると、違いがはっきりします。

  • オルカン・S&P500など海外株の投信:昨日の海外市場の終値 × 今日の朝10時ごろの為替
  • 日経平均・TOPIXなど日本株の投信:今日の15時の終値のみ(為替は無関係)

「同じ投資信託なのに、なんで日によって動きの感じが違うんだろう?」と思ったことがある方は、この違いが原因かもしれません。 オルカンとTOPIXの投信を両方持っていると、この差はけっこう体感できます。

私の1日:実はスマホを3回開いています

さて、仕組みの話はここまでです。 ここからは、この仕組みを知ったうえで私が実際にどう1日を過ごしているかを書かせてください。

ちょっと恥ずかしいのですが、私は1日に3回くらい、こっそりスマホを開いています(笑)

①通勤中 — アメリカの結果は、もう出ています

まず朝、電車の中。

さきほど書いた通り、アメリカ市場は朝の5時〜6時ごろにはもう閉まっています。 つまり通勤中の私は、今日の基準価額を決める材料のうち「株価の部分」を、すでに知ることができる状態にいるわけです。

「昨日のアメリカ、けっこう上がってたな」 「あ、これは今日プラスかもしれない」

この時点で、なんとなくの方向感が見えてきます。

②お昼 — 為替が決まって、材料が出そろいます

次が昼休みです。

朝10時ごろに為替の仲値が決まっているので、この時間になると材料が全部そろっています。 昨日の株価と、今日の為替。基準価額を決める2つのピースが、両方とも手元にある状態です。

ここが個人的には一番の「答え合わせ前の見せ場」で、お弁当を食べながらこっそり確認しています(笑)

③仕事終わり — この時点で、だいたい見えています

そして夕方。

日本株の投信も15時に確定しているので、持っているもの全部の傾向がここで出そろいます。 帰りの電車で「今日はプラスっぽいな」「今日はちょっと厳しいな」というのが、なんとなく分かる。

そして夜10時ごろ — ようやく公式発表

で、夜になってやっと正式な数字が出ます。

ただ、ここまで来るともうびっくりすることはありません。 「だいたい思ってた通りだな」で終わります。この「驚きがない」というのが、実はものすごく大事なんです。

傾向が分かると、1日の過ごし方が変わります

ここからが、私が一番伝えたかった話です。

上がっていると分かった日

朝の時点で「今日はプラスっぽいぞ」と分かると、単純にめちゃくちゃ嬉しいです。

「よし、今日の仕事も頑張るか!」という気分になりますし、夜に金額を確認するのが1日の楽しみになります。仕事終わりのビールみたいなポジションですね。

下がっていると分かった日は、あえて夜に見に行きません

逆に、朝の時点で「今日はマイナスっぽいな」と分かった日。

こういう日、私はあえて夜10時に見に行かないという選択をします。

「え、逃げてるだけじゃない?」と思われるかもしれません。 でも私は、これはかなり有効な自己防衛だと思っています。

だって、下がっていると分かっているのに、わざわざ「具体的に何万円減ったか」という数字を目に焼き付ける必要、ありますか?

金額まで見てしまうと、どうしても心がザワつきます。ザワついた状態でスマホを持っていると、ろくなことを考えません。「今のうちに一回売っておいた方がいいのでは」とか、余計なことを考え始めるんです。

それなら最初から見ない。 傾向だけ知っておいて、詳細は見ない。これができるようになったのは、朝の時点で方向感が分かるようになったからです。

ただし、行動は何ひとつ変えていません

ここは絶対に誤解されたくないので、はっきり書いておきます。

傾向が分かるようになっても、私の投資行動は1ミリも変わっていません。

積立の設定は毎月そのまま動き続けていますし、「今日下がりそうだから今月は止めよう」とか「上がりそうだから追加しよう」みたいなことは一切やっていません

変わったのは、気持ちの持ちようだけです。

マイナスの日でも「これは為替の影響だな」「まあ、そういう日もあるよね」と受け止められるようになった。ただそれだけ。 でもこの「ただそれだけ」が、相場が荒れたときに売らずにいられるかどうかを決めるんじゃないかと、私は本気で思っています。

長期・積立・分散が正解だというのは、みんな知っています。 でも実際に暴落が来たときにそれを実行し続けられるかどうかは、知識ではなくメンタルの問題です。

まとめ:先は読むけれど、読み切ろうとはしない

最後に、ちょっとだけ将棋の話をさせてください。

私は子どものころ、祖父とよく将棋を指していました。 将棋の面白さって、「先を読むこと」にあると思うんです。この駒を動かしたら、相手はこう来て、そしたらこっちはこう指して……という、あの感じ。

でも当然ながら、何十手も先を完璧に読み切れる人なんていません。プロだって読み切れないから、あれだけ長考するわけで。

ただ、3手先くらいの見当がついているだけで、指し手の落ち着きは全然違います。 何も見えていない状態で指すのと、なんとなく方向が見えている状態で指すのとでは、心の余裕がまるで別物なんですよね。

投資も、これとまったく同じだと思っています。

今日の基準価額をぴったり当てることに、正直あまり意味はありません。 でも「今日は上がりそう」「今日は下がりそう」「今日はあまり変わらなさそう」という方向感が分かっているだけで、1日の過ごし方も、夜の受け止め方も変わってきます。

今回の内容をまとめると、こうなります。

  • 投資信託の値段(基準価額)は1日に1回しか計算されない
  • 私たちは値段が分からないまま注文している(=ブラインド方式)。これはすでに保有している人を守るための仕組み
  • オルカンなど海外株の投信は「昨日の海外市場の結果 × 今日の朝10時ごろの為替」で決まる
  • 日経平均など日本株の投信は「今日の15時の終値」だけで決まり、為替の影響を受けない
  • つまり朝から昼にかけて、今日の材料はもう出そろっている
  • 傾向が分かると気持ちが安定する。ただし行動は変えないのが大事

当サイトは、まさにこの「答えが出る前に、方向感だけでも知りたい」という私自身の欲求から生まれました。 ぴったりの数字を当てるためのものではなく、1日を落ち着いて過ごすための道具として使っていただけたら、これ以上に嬉しいことはありません。

次回は、今回チラッと出てきた「為替の仲値(TTM)」について書きました。 「株価は上がってるはずなのに、なんで基準価額はマイナスなの?」という、あのモヤモヤの正体に迫る回です。投資信託の基準価額はどう決まるのか — TTM(仲値)の話から、ぜひ続けて読んでみてください!

また、当サイトがこの仕組みをどう計算に落とし込んでいるかは、推計の仕組みの記事で解説しています。「けっこうズレるんだな」という話も正直に書きました。

それでは、また次の記事でお会いしましょう!

※注意事項(免責事項)

  • 本記事は投資信託の仕組みの解説および運営者個人の経験に基づく情報提供であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
  • 基準価額の算出方法や申込の締切時刻は、ファンドや販売会社によって異なる場合があります。実際の取り扱いについては、必ず各ファンドの交付目論見書や販売会社の案内をご確認ください。
  • 投資には元本割れのリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。